寺や神社の錠前

鍵紛失して鍵の交換をした私が色々な鍵を解説していきます。
神社には銅鏡など精霊を招くとされる宝物がご神体として祀られています。恐れ多いものなのであまりじっくりと見たことはないかもしれません。しかし、よく見てみるとその奥のほうに両開きの扉があって、その扉にはとても美しい錠前がかかっているのです。この錠前には一体どのような意味があるのでしょうか。普段私達が使っている鍵と同じものなのでしょうか。

実は、この錠前というのは防犯用ではなく、神の世界と地上世界を隔てるという役割があるのです。ご神木などにかかっているしめ縄と同じ役割だと言えるでしょう。
このような役割のものは神社には他にもあります。入り口を表している鳥居ももともとはしめ縄だったのです。これが変化して鳥居になったと言われています。
錠前に話を戻します。この錠前は神社祭祀の「神前の開扉」という儀式のためものもだと考えられます。祭礼のときに修祓につづいて祭りの場に神様をお招きする儀式のための祭具として考えられます。
そしてこの神社の鍵を保管して祭りを司る役目を持つ家筋があります。これを「鎰取」といいます。
一方でお寺のご本尊が収められている仏殿には錠前がかかっていません。しかし、経蔵や宝蔵の扉には錠前が使われています。昔から、仏様というのは畏れ敬われていたものですので盗むような不届き者は居なかったのです。仏殿には簡単な落とし錠が使われる程度でした。しかし、最近はお寺や神社などを狙う泥棒も増えてきています。防犯のために南京錠などを使っているお寺も増えています。